傷病手当金の金額と計算方法。月給別シミュレーションで解説

制度解説・基礎知識

傷病手当金、結局いくらもらえるのか。退職後の家賃や生活費を電卓で叩いていると、この数字がわからないと先に進めない。結論から言うと、支給額は給与の約3分の2。この記事では、計算方法を3ステップで解説し、月給別のシミュレーション表もまとめた。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。

傷病手当金とは

一言で言えば、「病気やケガで働けない間、健康保険から支給される生活保障のお金」だ。根拠は健康保険法第99条。会社員や公務員など、健康保険(協会けんぽ・組合健保)に加入している人が対象になる。

勘違いされやすいが、骨折や入院だけの制度ではない。うつ病、適応障害、パニック障害といった精神疾患でも申請できる。退職後であっても、在職中に一定の条件を満たしていれば受給を継続できるケースがある。

支給額は給与の約3分の2。正確には以下の計算式で求める。

支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30 × 2/3

ここで出てくる「標準報酬月額」は、健康保険料の計算基準となる金額のこと。毎年4〜6月の給与(交通費・残業代含む)をもとに等級が決まり、その等級に対応した金額が標準報酬月額になる。ざっくり言えば、額面の月給に近い数字だと思っておけばいい。

自分の標準報酬月額を確認する方法は3つある。

    • 給与明細の「健康保険料」の金額から、加入先の保険料率表と照らし合わせて逆算する
    • 会社の人事・総務部に直接聞く
    • 「ねんきんネット」にログインして確認する

退職済みで会社に聞きにくい場合は、ねんきんネットが便利だ。直近の給与明細が手元にあるなら、そこから逆算するのが一番早い。

受給条件

傷病手当金を受け取るには、以下の4つの条件をすべて満たす必要がある。

条件 内容
①健康保険に加入 協会けんぽ・組合健保の被保険者であること。国民健康保険(国保)は原則対象外
②業務外の病気・ケガ 仕事中や通勤中の傷病は労災保険の対象になるため、傷病手当金は使えない
③連続3日間の待期期間 最初の連続3日間(有給・土日含む)は支給されない。4日目から支給が始まる
④労務不能 医師が「働けない状態にある」と証明していること

金額の計算に直接関係するのが③の待期期間。最初の3日間は支給されないため、たとえば10日間休んだ場合、支給対象は7日分になる。ここを見落として「10日分もらえる」と計算すると、実際の支給額とずれてしまう。

④の「労務不能」の証明には、医師の意見書が必要だ。心療内科やメンタルクリニックをまだ受診していない人は、先に診断書の取得を進めておくといい。手順は適応障害の診断書のもらい方にまとめている。

条件の全体像や、退職後に継続受給できるケースの詳細は傷病手当金の条件をわかりやすく解説を参照してほしい。

金額の計算方法と月給別シミュレーション

計算は3ステップで完結する。

Step 1:標準報酬月額を確認する
給与明細やねんきんネットで、自分の標準報酬月額を確認する。たとえば月給22万円(額面)の人なら、標準報酬月額は22万円の等級(220,000円)になることが多い。

Step 2:1日あたりの支給額を出す
標準報酬月額 ÷ 30 × 2/3。1円未満は四捨五入。
220,000 ÷ 30 × 2/3 = 4,889円。これが1日あたりの支給額になる。

Step 3:支給対象の日数をかける
1日あたりの支給額 × 支給対象日数。1ヶ月(30日)なら 4,889 × 30 = 約146,670円。

以下は、標準報酬月額ごとの目安をまとめた表だ。

標準報酬月額 月給の目安(額面) 1日あたり 1ヶ月(30日) 最長1年6ヶ月の総額
200,000円 約19.5〜21万円 4,444円 約13.3万円 約240万円
220,000円 約21〜23万円 4,889円 約14.7万円 約264万円
260,000円 約25〜27万円 5,778円 約17.3万円 約312万円
300,000円 約29〜31万円 6,667円 約20.0万円 約360万円
360,000円 約35〜37万円 8,000円 約24.0万円 約432万円
410,000円 約39.5〜41.5万円 9,111円 約27.3万円 約492万円

※ 実際の支給額は、会社から給与が一部出ている場合や他の給付金との調整で変わることがある。上記はあくまで目安として使ってほしい。

支給期間は最長1年6ヶ月。2022年1月の法改正で「通算して1年6ヶ月」に変わった。途中で復職し、再び休職した場合でも、合計1年6ヶ月に達するまで受給できる。以前は「暦で1年6ヶ月」だったので、途中復帰した期間もカウントされていた。この改正は大きい。

受給期間の詳細は傷病手当金の受給期間で解説している。

計算で見落としやすい注意点

標準報酬月額は「手取り」ではない。
社会保険料や税金を引かれる前の額面がベースになる。手取りで計算すると実際の支給額を低く見積もってしまうので注意。

加入12ヶ月未満の場合、計算方法が変わる。
入社して間もない時期に休職した場合は、①自分の標準報酬月額の平均と、②全被保険者の標準報酬月額の平均(協会けんぽの場合30万円)を比較して、低いほうが採用される。新卒で入社半年の人などは、ここで金額が変わる可能性がある。

休職中に会社から給与が出ている場合。
給与が傷病手当金の日額より少なければ、差額が支給される。給与が日額以上なら傷病手当金は支給されない。就業規則で休職中の給与がどうなっているか、事前に確認しておくといい。

次にやるべきこと

自分がいくらもらえるかの目安がわかったら、次は申請の準備に進む段階だ。

    • 受給条件の全体像を確認する → 傷病手当金の条件をわかりやすく解説
    • 申請手順を把握する → 傷病手当金の申請方法
    • 業者に頼まず自分で進める → 傷病手当金を自分で申請する方法
    • 退職後の受給について知る → 退職後の傷病手当金

まとめ

傷病手当金の支給額は、標準報酬月額の3分の2。月給22万円なら月に約14.7万円が届く計算になる。布団の中で電卓を叩いて、同じ計算を何度も繰り返していた夜がある。でも「いくら入ってくるか」が見えた瞬間、天井を見つめる時間は少し短くなった。正確な金額は自分の標準報酬月額から計算して、まずは見通しを手元に持っておいてほしい。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

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