傷病手当金の受給期間。通算1年6ヶ月のルールを解説

制度解説・基礎知識

「傷病手当金、いつまでもらえるんだろう」——休職中や退職後に、真っ先に気になるところだと思う。

結論から書くと、傷病手当金の受給期間は通算で最長1年6ヶ月。この記事では、期間の数え方、2022年の法改正で変わった通算ルール、退職後に受給を続ける条件、そして期間終了後の選択肢までをまとめた。

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傷病手当金とは?制度の概要

傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで仕事を休み、十分な報酬が受けられないときに支給される手当。うつ病、適応障害、パニック障害といった精神疾患も対象になる。

支給額は、ざっくり言えば給与の約3分の2。正確には「支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3」で算出される。金額の詳しい計算方法は傷病手当金の金額と計算方法にまとめている。

この手当を受け取れる期間の上限が、通算1年6ヶ月(18ヶ月分)。

ここで大事なのが「通算」の意味。2022年1月の法改正より前は、最初の支給開始日から暦の上で1年6ヶ月が経過した時点で打ち切りだった。途中で復職して受給を中断していた期間があっても、関係ない。1年6ヶ月でおしまい。

2022年1月以降は、実際に傷病手当金を受け取った日数だけを数える「通算」方式に変わった。復職して受給していなかった期間は、カウントに含まれない。体調に波がある人にとって、この改正は大きい。「一度復職してダメだったら、もう手当がない」——そんな不安が、制度の上では解消された。

なお、2022年1月1日より前に受給を開始していた人にも、この通算ルールは適用される。改正日の時点で支給開始から1年6ヶ月を経過していなければ、通算方式の対象になる。

受給に必要な条件

傷病手当金を受け取るには、4つの条件をすべて満たす必要がある。

    • 健康保険の被保険者であること(国民健康保険は対象外)
    • 業務外の病気やケガで療養中であること
    • 療養のために労務不能であること
    • 連続する3日間の待期期間を含め、4日以上仕事を休んでいること

条件の全体像は傷病手当金の条件をわかりやすく解説で網羅しているので、ここでは受給「期間」に直結する部分だけ押さえる。

まず、待期期間。最初に連続して3日間休んだ日がこれにあたり、支給は4日目からスタートする。有給休暇や土日祝も3日間に含められる。ただし、連続していなければダメ。「2日休んで1日出勤、また2日休む」では待期は完成しない。連続3日が鉄則。

次に、退職後も受給を続ける場合の追加条件。

    • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
    • 退職日の時点で傷病手当金を受給している(または受給できる状態にある)こと
    • 退職日に出勤していないこと

見落とされやすいのが3つ目。最終出社日に「引き継ぎだけ」「挨拶だけ」と出勤してしまうと、退職後の受給資格を失う可能性がある。退職日は必ず欠勤にしておくこと。退職後の継続受給について詳しくは退職後の傷病手当金も参照してほしい。

受給期間と金額のシミュレーション

受給期間は通算1年6ヶ月(18ヶ月分)。月給ごとに、満額受給した場合の支給総額の目安をまとめた。

月給(額面) 1日あたりの支給額 1ヶ月あたり 18ヶ月の合計
20万円 約4,444円 約13.3万円 約240万円
25万円 約5,556円 約16.7万円 約300万円
30万円 約6,667円 約20.0万円 約360万円
35万円 約7,778円 約23.3万円 約420万円

※ 支給額は標準報酬月額をもとに算出されるため、実際の金額は個人の等級や加入状況により異なる。上記はあくまで目安。

私自身、受給中に「あと何ヶ月分残っているか」を何度も数えた。見通しがあるかないかで、不安の質はまるで違う。

通算の数え方を、具体例で見てみる。

【例】月給25万円で、休職→復職→再休職したケース

    • 休職6ヶ月(受給6ヶ月分)→ 復職4ヶ月 → 再休職

復職していた4ヶ月は通算にカウントされない。残りの受給可能期間は12ヶ月のまま。再休職後はこの12ヶ月分から消化していく。

これが2022年の改正前だった場合、支給開始日から暦上で1年6ヶ月が経った時点で打ち切りになっていた。復職していた4ヶ月も「経過した期間」に含まれるため、実質的に受け取れたのは14ヶ月分。改正後なら18ヶ月分。月給25万円で計算すると、差額は約67万円。小さくない数字。

受給開始から終了までの実際のスパンは、人によって異なる。18ヶ月分を連続で使い切る人もいれば、復職と休職を繰り返しながら2〜3年かけて消化する人もいる。通算方式だからこそ、自分のペースで制度を使える。

受給期間に関する注意点

同一の傷病ごとに通算される

通算18ヶ月は「同一の傷病」に対して適用される。適応障害で18ヶ月を使い切った後、まったく別の傷病(骨折など)で労務不能になった場合は、新たに受給権が発生する。

ただし、「適応障害」と「うつ病」のように関連性が高い疾病は、同一の傷病とみなされる場合がある。判断は加入先の健保組合による。微妙なケースは事前に確認しておきたい。

年金との併給調整

退職後に傷病手当金と老齢厚生年金(または障害厚生年金)を同時に受給する場合、傷病手当金が減額・不支給になることがある。年金の日額が傷病手当金の日額を上回れば、傷病手当金は支給されない。下回る場合は差額のみ。

受給残日数は健保に確認できる

「あと何日分残っているのか」は、加入先の健保組合に問い合わせれば教えてもらえる。支給決定通知書にも支給日数の記載があるので、届いたら確認しておくと安心。期間終了が近づいてから慌てないよう、残り3ヶ月を切ったあたりで次の収入源(失業保険・障害年金など)の情報収集を始めておきたい。

次のアクション

受給期間の仕組みがわかったら、自分の状況に合った記事へ。

まとめ

傷病手当金の受給期間は、通算で1年6ヶ月。2022年の改正以降、途中で復職した期間はカウントに含まれなくなった。

「いつまでもらえるのか」がわかるだけで、先の見通しは少し変わる。制度は、知っている人のもとに届く。ここにたどり着いて調べているなら、それだけで十分、前に進んでいる。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
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