産後うつかもしれない——でも赤ちゃんを連れて心療内科に行く余裕がない。そう感じている方へ。産後うつの診断書は、オンライン診療で自宅から取得できます。この記事では、取得までの手順(Step1〜4)、費用の目安、傷病手当金・育児休業給付金との関係をまとめました。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。
制度の背景
産後うつの診断書が必要になる主な場面は、傷病手当金の申請と休職手続きです。傷病手当金は、病気で仕事を休んだときに給与の約3分の2が支給される健康保険の制度で、申請には医師の診断が必要になります。制度の詳細は厚生労働省や協会けんぽの公式情報を参照してください。
産後うつの診断書には、一般的なうつ病や適応障害の診断書と異なるポイントがあります。病名欄には「産褥期うつ病」「産後うつ病エピソード」など出産と関連づけた病名が記載されるのが一般的です。また、産科で経過を診ている場合は、心療内科・精神科の医師が産科の診療情報を参照して診断書を作成することがあり、産科との連携が求められるケースもあります。
育休中に産後うつを発症した場合、傷病手当金と育児休業給付金は併給できません。どちらを使うかは状況によって異なります。
| 比較項目 | 傷病手当金 | 育児休業給付金 |
|——|——|——|
| 支給額 | 給与の約2/3 | 開始〜180日:給与の67%、以降50% |
| 支給条件 | 医師の診断が必要 | 育休取得が条件 |
| 受給期間 | 最長1年6ヶ月 | 原則子が1歳まで(延長あり) |
| 併給 | 育休給付金と同時受給不可 | 傷病手当金と同時受給不可 |
育休中に「労務不能」と診断された場合は、育児休業給付金から傷病手当金へ切り替える選択肢もあります。どちらが有利かは給与額や育休の残期間で変わるため、詳しくは育休中に産後うつ。傷病手当金をもらう条件と手順を参照してください。
| 状況 | 活用できる制度 | 診断書の必要性 |
|---|---|---|
| 育休中に産後うつを発症 | 傷病手当金(育休給付金との併給不可) | 切り替え申請時に必要 |
| 復職後に産後うつで就労不能 | 傷病手当金 | 必要 |
| 産後うつで退職 | 傷病手当金(在職中の受給開始が条件) | 必要 |
具体的な手順
産後うつの診断書を取得するまでの流れを、四つのステップに分けます。手順の基本は一般的な心療内科の受診と同じなので、各ステップの詳細は適応障害の診断書のもらい方。心療内科の初診で伝えるべきこともあわせて確認してください。ここでは産後うつ特有のポイントに絞って説明します。
Step 1:予約する(5〜10分)
初診からオンライン対応の心療内科を選び、Webフォームで予約します。産後うつの場合、電話予約は赤ちゃんの泣き声で中断しやすいため、24時間いつでも入力できるWeb予約のほうが現実的です。「産後うつ」「診断書発行対応」の記載があるクリニックを選びましょう。初診枠は数日〜2週間程度で取れることが多いです。子どもが寝ている間や、家族がお風呂に入れてくれている間——10分あれば予約は完了します。
Step 2:問診に回答する(10〜20分)
予約後に届く問診票に回答します。産後うつの場合、「いつ頃から症状がありますか」の欄で手が止まりやすい。出産直後からなのか、数ヶ月前からなのか、自分でも判別がつかないことが多いからです。「出産後○ヶ月頃から」と大まかに書けば十分で、あとから医師に口頭で補足できます。「正確に書かなきゃ」と気負う必要はありません。睡眠の変化、食欲、気分の落ち込み、育児や復職への不安など、今の状態をそのまま書いてください。
Step 3:医師の診察を受ける(15〜30分)
予約日時にスマホやPCから接続します。オンライン診療には、産後の受診ならではの利点があります。
赤ちゃんが泣いても中断できます。 対面の診察室と違い、自宅なので周囲の目を気にする必要がありません。泣き声が聞こえたら「少しお待ちください」と伝えて対応し、落ち着いたら再開する——そうした中断に慣れている医師がほとんどです。診察が途切れ途切れになっても、診断や診断書の発行には影響しません。
授乳しながらの受診も可能です。 授乳のタイミングと診察が重なった場合、画面をオフにして音声のみに切り替えることもできます。カメラ映りや服装を気にしなくていいのは、産後の身体的な負担が大きい時期には助かるポイントです。
診察では「いつ頃からつらいか」「睡眠や食欲の変化」「育児や復職への不安」などを聞かれます。診断書の用途(傷病手当金の申請用、休職用など)を伝えておくとスムーズです。オンライン受診の流れを事前に確認したい場合は、オンライン診療で心療内科を受診してみた。初めての人向け完全ガイドにまとめています。
Step 4:診断書の発行を依頼する
診察の最後に「診断書を発行してください」と伝えます。産後うつの場合、診断書の病名欄には「産褥期うつ病」「産後うつ病エピソード」などと記載されるのが一般的です。用途に応じて休業の必要性や期間も記載されます。発行まで3〜7日、郵送の場合はさらに数日かかります。費用は1,500〜3,000円程度です。
費用と所要時間
産後うつの診断書をオンラインで取得する場合の費用目安です。
| 項目 | 目安 |
|——|——|
| 初診料(オンライン) | 5,000〜7,000円程度 |
| 診断書料 | 1,500〜3,000円程度 |
| 合計(初診+診断書1通) | 6,500〜10,000円程度 |
| 初診の所要時間 | 15〜30分 |
| 診断書発行まで | 3〜7日(クリニックによる) |
再診で診断書のみ発行する場合は、再診料+診断書料で3,000〜6,000円程度が相場です。費用の内訳や保険適用の詳細は適応障害の診断書のもらい方でも解説しています。自立支援医療制度を利用すれば通院の自己負担が1割に軽減されるケースもあるため、継続的な通院が見込まれる場合はクリニックに相談してみてください。
体験談パート
出産から8ヶ月。復職の話が出始めた頃、朝3時、4時に目が覚めるようになった。子どもの寝息を聞きながら天井を見つめて、復帰後の1日を頭の中で組み立てる。保育園の送り迎え、8時間の勤務、夕飯、お風呂、寝かしつけ——途中で手が止まる。全部をこなしている自分が、どうしても想像できなかった。
夫に「しんどい」と言えたのは、ある日の夕食中だった。味噌汁をよそう手が震えて、涙が落ちた。夫は箸を置いて「病院行こう」と言ってくれたけど、8ヶ月の子どもを抱えて待合室に座る自分を想像しただけで、疲れ果てた。
翌日の夜、夫が子どもをお風呂に入れてくれている20分の間にスマホで予約を取った。問診票の「いつ頃から症状がありますか」の欄で15分くらい画面を見つめて、「出産後3ヶ月頃から徐々に」と書いた。正解かどうかは今でもわからない。診察当日、医師は「それで十分ですよ」と笑ってくれた。1週間後に届いた封筒を開けて「産褥期うつ病」と印字された紙を見たとき、不思議と安心した。自分の状態に名前がついたことで、「甘えじゃない」と初めて思えた。個人の感想だが、情報を持っていたから動けるタイミングで迷わずに済んだのだと思う。
まとめ
産後うつの診断書は、オンライン診療で自宅から取得できます。費用の目安は初診と診断書を合わせて6,500〜10,000円程度。予約→問診→診察→発行依頼の4ステップで、診察時間は15〜30分です。完璧に準備する必要はないし、問診票の書き方に正解もない。情報を持っておけば、動けるタイミングが来たとき迷わずに済みます。
※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

