休職中にやるべきこと・やってはいけないこと一覧

制度解説・基礎知識

休職に入ったものの、毎日何をすればいいのかわからない。3ヶ月前まで旅行代理店のカウンターに立っていたのに、今は実家の自室でスマホを眺めるだけ。この記事では、休職期間を3つのフェーズに分けて「やるべきこと」と「避けるべきこと」を一覧にしています。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。

休職の概要と3フェーズの全体像

休職の過ごし方は、回復の段階に合わせて3つのフェーズに分けると整理しやすくなります。

フェーズ 時期の目安 心身の状態 過ごし方の方針
急性期 休職開始〜1ヶ月 消耗が強い・動けない とにかく休む
回復期 2〜3ヶ月目 少しずつエネルギーが戻る 手続き・生活の立て直し
リハビリ期 4ヶ月目〜 活動量が増えてくる 復職準備・社会復帰の練習

急性期は、とにかく休む時期。「休んでいるのに何もしていない」と罪悪感を覚える人は多いけれど、この時期に無理をすると回復そのものが遅れます。睡眠・食事・最低限の衛生管理。この3つだけで十分。身体が求めるままに眠って、食べられるものを食べる。それ以上のことは求めなくていい。

    • 主治医の指示に従い、定期通院する(2週間に1回が一般的)
    • 会社の休職手続き(診断書の提出・休職届の提出)を済ませる
    • 健康保険証・雇用保険被保険者証の保管場所を確認しておく
    • 会社との連絡手段(メール・チャット等)を決めておく
    • 服薬が始まった場合、飲み忘れを防ぐ仕組みを作る(スマホのアラーム等)

回復期に入ると、少しずつエネルギーが戻ってくる。同時に「このままで大丈夫なのか」という焦りも出やすい時期です。ここでの優先事項は復職準備ではなく、傷病手当金や自立支援医療の申請といったお金まわりの手続き。動ける日に30分ずつ進めるくらいで問題ありません。

    • 固定費を見直す(サブスク解約、奨学金の返済猶予申請、保険の見直し等)
    • 生活リズムの記録を始める(起床・就寝・食事の時間をメモするだけでいい)

リハビリ期は、日中の活動量を段階的に増やすフェーズ。散歩や図書館通い、生活リズムの固定が復職への土台になります。主治医と相談しながら、リワークプログラム(復職支援プログラム、利用期間の目安は3〜6ヶ月)を検討してもいい段階。

    • 毎日決まった時間に起きる(通勤を想定した時間帯を意識)
    • 短時間の外出を習慣にする(散歩15〜30分から)
    • 主治医と復職時期の見通しを相談する
    • 会社の復職面談の条件・時期を人事部に確認する
    • リワークプログラムの利用を検討する

ただし、この3フェーズはあくまで一般的な目安であって、個人差が大きい。適応障害の休職期間は平均3〜6ヶ月と言われるが、それより長くなっても問題はない。自分の回復ペースは、主治医の判断を基準にしてください。

休職中に使える制度の条件

休職中は収入が減る一方で、利用できる公的制度がいくつかある。制度ごとの受給条件を整理しておくと、自分が何に申請できるかがわかりやすい。

制度 対象者 主な受給条件 必要書類
傷病手当金 健康保険加入の会社員 業務外の傷病で労務不能・連続3日の待期期間後4日目から 申請書・医師の意見書・事業主の証明
自立支援医療 精神疾患で継続的に通院する人 主治医が対象疾患と認めていること 申請書・主治医の診断書・健康保険証・マイナンバー確認書類
住民税の減免 前年所得が一定以下、または収入が著しく減少した人 自治体ごとに基準が異なる 減免申請書・収入を証明する書類
国民年金の免除 退職後に国民年金に切り替えた人 退職(失業)の事実が確認できること 免除申請書・離職票または退職証明書

傷病手当金は、休職中の生活を支える柱になる制度。業務外の病気やケガで労務不能と医師が判断し、会社から給与が支払われていない期間が対象になる。健康保険に加入している会社員であれば、連続3日間の待期期間を経て4日目から申請できる。申請書には医師の意見書欄と事業主の証明欄があるため、通院のたびに医師記入欄を持参するとスムーズ。

    • 傷病手当金の申請書を準備・提出する(→ 申請方法の詳細)

自立支援医療制度は、心療内科・精神科の窓口負担を3割から1割に軽減する制度。うつ病、適応障害、不安障害など、精神疾患の治療で継続的に通院している場合に対象となる。申請先はお住まいの市区町村の窓口で、申請日に遡って適用されるケースが多い。

    • 自立支援医療制度の申請を検討する(→ 申請手順の詳細)

住民税の減免は、前年の所得や当年の収入状況に応じて住民税が減額される制度。基準は自治体ごとに異なるため、まずは市区町村の税務課窓口で自分が対象になるかを確認する。

国民年金の免除・猶予は、退職して国民年金に切り替えた場合に利用できる。退職特例を使えば、前年所得に関係なく免除が認められやすい。届出は退職後14日以内が推奨されている。

    • 住民税・国民年金の減免・猶予制度を自治体窓口で確認する

私の場合、回復期の2ヶ月目が一番きつかった。少し動けると「もう大丈夫かも」と思い、翌日ぐったり。申請書を開いたまま5日間放置した日もある。「回復には波があるのが普通」と主治医に言われて、やっと焦りが薄まった。

手続きの費用と所要期間

「知っているかどうか」が生活に直結するため、各制度の金額と申請スケジュールを把握しておきたい。

手続き 金額の目安 申請期限の目安 振込・認定までの期間
傷病手当金 給与の約2/3が最長1年6ヶ月支給 労務不能日ごとに2年以内 初回申請から1〜2ヶ月
自立支援医療 通院1回あたり約1,000〜2,000円の節約 随時申請可 申請から認定まで1〜2ヶ月
住民税の減免 自治体による 納期限まで 自治体による
国民年金の免除 月16,980円が全額〜一部免除 届出は退職後14日以内推奨 申請から約2〜3ヶ月

傷病手当金の支給額は標準報酬月額の3分の2。月給別の目安は以下のとおり。

月給(額面) 傷病手当金(月額目安) 1年6ヶ月の総額目安
20万円 約13万3,000円 約240万円
25万円 約16万7,000円 約300万円
30万円 約20万円 約360万円

初回の申請から振込まで1〜2ヶ月かかることが多い。着手が遅れるほど振込も遅れるため、回復期(2〜3ヶ月目)に始めるのが現実的。詳しい手順は傷病手当金の申請方法にまとめています。

自立支援医療制度を使うと、心療内科の窓口負担が3割から1割に軽減される。たとえば月2回通院で1回あたり3,000円かかっている場合、自己負担は約1,000円に。年間で約48,000円の差になります。主治医の診断書(3,000〜5,000円程度)が必要。申請手順の詳細はこちら。

これらの手続きは、急性期に無理をする必要はないが、早めに動けると貯金の減りへの不安が少し和らぎます。

休職中の注意点(やってはいけないこと・グレーゾーン)

休職の目的は「療養に専念すること」。以下の行為はトラブルの原因になります。

明確にNG:

    • 副業・アルバイト(就業規則違反になることが多く、傷病手当金の不支給事由にも該当しうる)
    • 旅行や派手な外出をSNSに投稿する(同僚経由で人事部に伝わるケースがある)
    • 会社に無断で転職活動を進める

グレーゾーン:

    • SNSの更新:鍵アカウントでの日常投稿は基本的に問題ない。ただし旅行やイベント参加の写真は、同僚経由で人事に伝わるリスクがある。「見られても説明がつく内容か」が判断基準になる
    • 短期間の帰省・近場の外出:主治医が「気分転換として有効」と判断していれば問題ないとされる。ただし、事前に人事部へ一報入れておくほうが安全
    • 資格の勉強:療養に支障がない範囲であれば問題ないケースが多い。ただしSNSで勉強の進捗を報告するのは避けたほうがいい

判断に迷ったら、かかりつけ医に「これはやっていいですか」と聞くだけで大半の不安は消える。私は休職2ヶ月目、カフェで読書をしていたら前の職場の人を見かけた。一瞬、背中が冷たくなり、気づかれる前に席を立って店を出た。結局、向こうは気づいていなかったと思う。でもあの焦りはしばらく消えなかった。

次のアクション

休職期間の目安や、復職・退職の判断基準については適応障害の休職期間の目安|復職・退職の判断基準で詳しくまとめています。

傷病手当金の具体的な申請手順は傷病手当金の申請方法へ。自立支援医療の申請は自立支援医療制度の申請手順を参照してください。

やるべきことは意外と多い。でも、全部を今日やる必要はありません。動ける日に、1つだけ。それで十分です。

まとめ

休職中の過ごし方に正解はない。ただ、「何もしていない」と感じる日にも、身体は少しずつ回復に向かっています。急性期は休む。回復期は手続きを進める。リハビリ期は少しずつ動く。フェーズに合わせて、できることだけやればいい。

書類を1枚書けた日も、一日中布団にいた日も、どちらも休職には必要な時間だった。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

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