不動産営業を辞めた翌月、届いた国保の通知書を見て固まった。月額3万8千円。国民年金と合わせると月5万円超。収入ゼロの一人暮らしには、あまりに重い数字だった。この記事では、退職後に使える国保の減免制度と年金の免除制度について、条件・手続き・減額シミュレーションをまとめている。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。
国保減免・年金免除の概要
退職後に加入する国民健康保険(国保)と国民年金には、収入が大きく減った人向けの軽減・免除制度がある。一言で言えば「退職で収入が落ちた人の保険料を下げてもらえる仕組み」。それぞれの概要を整理する。
国保の「非自発的失業者軽減」
会社都合退職や正当な理由のある自己都合退職の場合に使える制度。前年の給与所得を100分の30として保険料を再計算してもらえる。所得が実質7割カットされた前提になるため、保険料が大幅に下がる。適用期間は離職日の翌日から翌年度末まで。
国民年金の「失業等による特例免除」
退職を理由に、年金保険料の全額または一部を免除してもらえる制度。全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階。失業中は本人の所得が審査から除外されるため、一人暮らしの場合はほぼ全額免除が認められる。
「任意継続と国保、どちらを選ぶべきか」は退職後の健康保険の切り替え方法で解説している。この記事では、国保に切り替えた場合の「減免」と年金の「免除」に絞って、申請条件と手続きを掘り下げていく。
減免・免除の条件
国保の非自発的失業者軽減
以下の3つをすべて満たす必要がある。
- 離職日時点で65歳未満であること
- 雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当すること
- 雇用保険受給資格者証の離職理由コードが対象コードに一致すること
対象となる離職理由コードは以下のとおり。
| コード | 離職理由の区分 |
|---|---|
| 11, 12 | 解雇 |
| 21, 22 | 雇い止め(期間満了) |
| 23 | 期間満了(更新確約なし) |
| 31, 32 | 事業主の働きかけによる退職 |
| 33, 34 | 正当な理由のある自己都合退職 |
ポイントは「自己都合退職でも対象になるケースがある」ということ。適応障害やうつ病により就労が困難な状態で退職した場合、医師の診断書をハローワークに提出すれば「特定理由離職者」(コード33)に認定される可能性がある。
国民年金の失業等による特例免除
こちらの条件はシンプルで、退職の事実を証明できればいい。
- 離職票または雇用保険受給資格者証で失業を証明できること
- 本人の前年所得は審査から除外され、配偶者・世帯主の所得のみで判定
- 単身世帯の場合、本人所得が除外されるため全額免除が通りやすい
国保も年金も、申請先は住所地の市区町村役場。同じ窓口でまとめて手続きできる自治体が多い。
保険料の減額シミュレーション
月給25万円(年収約300万円)・一人暮らしで退職した場合の目安を出してみる。
国保の保険料
| 区分 | 月額の目安 |
|---|---|
| 通常計算(前年所得ベース) | 約30,000〜40,000円 |
| 非自発的失業者軽減の適用後 | 約5,000〜8,000円 |
※金額は自治体により異なる。上記は東京23区のモデルケース。
前年の給与所得200万円が、100分の30で60万円として再計算される。月にして2万円以上の差が出ることも珍しくない。
国民年金の保険料
| 免除区分 | 月額 | 将来の年金額への反映 |
|---|---|---|
| 免除なし(通常) | 17,510円 | 全額反映 |
| 全額免除 | 0円 | 1/2として計算 |
| 4分の3免除 | 4,378円 | 5/8として計算 |
| 半額免除 | 8,755円 | 3/4として計算 |
| 4分の1免除 | 13,133円 | 7/8として計算 |
※令和7年度の国民年金保険料(月額17,510円)をもとに算出。
国保軽減と年金全額免除を合わせると、月の社会保険料は5万円超から5,000〜8,000円程度まで下がる。年間で50万円近い差になることもある。知っているかどうか、それだけの違い。
注意点
年金免除中は「追納」を視野に入れる
免除期間中も受給資格期間にはカウントされる。ただし、将来もらえる年金額は減る。全額免除の場合、その期間は通常の1/2として計算される。
ここで知っておきたいのが「追納」の制度。免除から10年以内であれば、あとから保険料を納めることができる。追納すれば、年金額は満額に戻る。ただし、免除から3年以上経過すると加算額が上乗せされるため、生活に余裕ができた段階で早めに納めるのが得策。
国保軽減は年度単位
翌年度も引き続き失業中の場合、改めて申請が必要になる自治体がある。年度の切り替わり時期(3〜4月)に届く通知を見逃さないこと。
滞納していても申請できる
「すでに払えていないから窓口に行きづらい」——そう思うかもしれない。でも、滞納中でも減免・免除の申請は受け付けてもらえる。滞納分の分割納付を相談できるケースも多い。
次のアクション
国保と年金の手続きは、退職後の早い段階で済ませたい。特に年金免除は申請月の前月分までしか遡れないため、1日でも早く動いた方がいい。必要書類は、雇用保険受給資格者証・本人確認書類・年金手帳(または基礎年金番号通知書)。これらを持って市区町村の窓口に行けば、所要時間は30分〜1時間程度で完了する。
年金免除の具体的な申請手順は国民年金の免除申請方法にまとめている。退職後に使える制度の全体像を先に把握しておきたい場合は、退職後に使えるお金の制度一覧を読むと申請の漏れが減る。
まとめ
届いた通知書の金額を見て、血の気が引いた。月5万円超の社会保険料。収入ゼロの口座から毎月引かれていく恐怖。でも、減免と免除の手続きを済ませたら、負担は数千円まで下がった。手続き自体は、書類を持って窓口に行くだけ。それだけで月の出費が数万円変わる。あのとき動けてよかったと、今は思っている。
※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

