育休中に産後うつ。傷病手当金をもらう条件と手順

申請手順・ハウツー

育休4ヶ月目の朝。子どもの泣き声が聞こえているのに、布団をめくる力がなかった。

育休中に産後うつを発症しても、条件を満たせば傷病手当金は受給できる。ただし育児休業給付金との併給はできないため、「育休→休職」への切り替え手続きが必要になる。この記事では、切り替えの条件・具体的な手順・タイムラインを私の経験をもとにまとめた。

公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。

育児休業給付金と傷病手当金の違い

まず2つの制度を整理しておく。

育児休業給付金は、育児のために休業している人に雇用保険から支給される給付金。育休開始から180日間は休業前賃金の67%、181日目以降は50%が支給される。

一方、傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときに健康保険から支給される制度。支給額は標準報酬日額の3分の2で、最長1年6ヶ月。条件の詳細は傷病手当金の条件をわかりやすく解説にまとめている。

重要なのは、この2つは同時にもらえないということ。育休中は「育児のための休業」という扱いであり、「傷病による就労不能」とは認められない。だから産後うつで傷病手当金を受けるには、まず育休を終了して「傷病休職」に切り替える手続きが必要になる。

育休中に傷病手当金を受給するための条件

以下のすべてを満たす必要がある。

    • 健康保険の被保険者であること(国保は対象外)
    • 育児休業を終了していること(育休中のままでは原則として申請が通らない)
    • 医師から「傷病により就労不能」と診断されていること
    • 連続3日間の待期期間を満たすこと(休職開始日から起算)
    • 退職後も継続受給する場合は、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あること

見落としやすいのが5つ目。転職時や派遣切替時に保険の空白が1日でもあると、退職後の継続受給ができなくなることがある。不安なら、加入している健保組合に被保険者期間を問い合わせておくといい。

育休から傷病手当金に切り替える手順

Step 1:心療内科を受診して診断書を取得する

傷病手当金の申請には医師の診断書が必要。受診時に「産後うつの症状があり、傷病手当金を申請する予定」と伝えて、診断名と「就労不能」の旨を記載してもらう。

赤ちゃんを連れての通院が難しければ、オンライン診療という選択肢がある。自宅からスマホで受診でき、診断書の発行にも対応しているクリニックは増えている。取得の流れは産後うつの診断書をオンラインで取得する方法に詳しくまとめた。

初診料3,000〜5,000円、診断書3,000〜5,000円が費用の目安。所要時間は15〜30分ほど。

子どもが昼寝した隙にスマホで予約を入れた。夫は単身赴任中で、頼れる人が近くにいない。オンラインでなければ受診自体できなかったと思う。

Step 2:会社に育休終了と休職への切替を連絡する

診断書を取得したら、勤務先の人事部に連絡する。伝える内容は3つ。

    • 産後うつの診断を受けたこと
    • 育児休業を終了して傷病休職に切り替えたいこと
    • 傷病手当金を申請する予定であること

ここで絶対に避けたいのが、育休終了日と休職開始日の間に空白を作ること。1日でも空くと「その日は出勤可能だった」と見なされ、待期期間の計算や給付に影響が出る可能性がある。育休終了日の翌日が休職開始日になるよう、人事と日付を書面で確認しておくのが安全。

電話が難しければメールで構わない。私は声を出す気力がなくて、メールで送った。返信は事務的で、それがかえって楽だった。

Step 3:傷病手当金の申請書を作成する

申請書は加入している健保組合のWebサイトからダウンロードできる。記入する主な内容は以下のとおり。

    • 被保険者(自分)の基本情報
    • 申請期間(就労不能だった期間)
    • 振込先の口座情報
    • 医師の意見書欄(クリニックに依頼して記入してもらう)
    • 事業主証明欄(会社の人事部に依頼する)

書き方の詳細は傷病手当金の申請方法を参照してほしい。

全部を一度にやろうとすると消耗する。私は1日目に自分の欄だけ書いて、2日目にクリニックへ医師記入を依頼、3日目に会社へ事業主証明を依頼した。子どもが寝ている時間しか作業できないから、分けてやるしかなかった。

Step 4:健保組合に申請書を郵送する

医師の意見書と事業主証明が揃ったら、一式を健保組合に郵送する。

申請から最初の振込まで、おおむね1〜2ヶ月。早い健保で3〜4週間、遅いところだと2ヶ月以上かかるケースもある。その間は収入がない期間が生まれるため、貯金の残高は事前に確認しておきたい。

切り替えのタイムライン(月給25万円の場合)

育休から傷病手当金に切り替える場合の標準的なスケジュールを整理した。

時期 やること 受け取る給付 月額の目安
育休中(〜180日) 心療内科を受診し診断書を取得 育児休業給付金 約16.7万円(67%)
育休中(181日〜) 会社に育休終了・休職切替を連絡 育児休業給付金 約12.5万円(50%)
育休終了日の翌日 傷病休職を開始
休職1〜3日目 待期期間(支給なし) なし 0円
休職4日目〜 傷病手当金の支給対象期間 傷病手当金 約16.6万円(2/3)
申請後1〜2ヶ月 最初の振込 傷病手当金 約16.6万円
最長1年6ヶ月 傷病手当金の支給上限 傷病手当金 約16.6万円

育休181日目以降の給付金(50%)から傷病手当金(約67%)に切り替わると、月4万円ほど増えるケースもある。ただし金額は標準報酬月額によって異なるため、自分の条件で計算しておくことを勧める。

退職を検討している場合は、在職中に傷病手当金の受給を開始しておくこと。被保険者期間が1年以上あれば、退職後も受給を継続できる。「育休延長→傷病手当金に切替→退職」の順番であれば、退職後も最長1年6ヶ月の収入を確保できる可能性がある。

よくある失敗と対処法

育休を終了せずに申請して不支給になった

育休中のまま傷病手当金を申請すると、「休業理由は育児であり、傷病ではない」と判断され不支給になることがある。必ず育休を終了して休職に切り替えてから申請する。順番を間違えると、書類を出し直すところからやり直しになる。

医師の意見書に「育児疲れ」と記載された

傷病手当金の審査では「就労不能」の根拠が重視される。「育児疲れ」「育児ストレス」という記載だと、傷病として認められない可能性がある。

私がまさにこれだった。最初の受診で「育児による心身の消耗」と書かれかけて、慌てた。製薬会社で医薬品情報を扱う仕事をしていたのに、自分のことになると何をどう伝えればいいかわからなかった。「傷病手当金の申請に使いたい」と正直に伝えたら、医師が「うつ病エピソード(産後発症)」の診断名で書き直してくれた。言わなければ、通らない書類ができていたかもしれない。

育休終了日と休職開始日に空白ができた

人事とのやり取りが遅れて、育休終了から休職開始まで1日空いてしまうケース。この空白を「出勤可能な日」と見なされると、待期期間の起算点がずれる。育休終了日の翌日を休職開始日にする旨を、メールなど記録が残る方法で人事に確認しておく。

自分で申請する場合と業者の費用比較

項目 自分で申請 サポート業者
診察代(初診) 3,000〜5,000円 別途自己負担
診断書代 3,000〜5,000円 別途自己負担
サポート費用 0円 10万〜40万円(成功報酬型もあり)
郵送代 数百円
合計目安 約7,000〜11,000円 10万〜40万円+診察代

業者は書類の書き方指導やスケジュール管理をしてくれる。ただ、申請手続き自体は自分でも行える。育休中は貯金を切り崩して生活している人も多い。まずは自力での申請を検討する価値はある。手順の全体像は傷病手当金の申請方法にまとめた。

まとめ

育休中に産後うつを発症しても、育休を終了して休職に切り替えれば傷病手当金を受給できる。育児休業給付金との併給はできないが、切り替えの手順は決まっている。

あの朝、泣いている子どもの横で天井を見つめていた私が、3日に分けて書類を書いて、封筒を閉じて、ポストに入れた。たったそれだけのことに、1ヶ月近くかかった。でも、それでよかったんだと思う。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
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