「ハラスメントが原因で休職したい。でも診断書ってどうやってもらうのか」——そう調べて、ここにたどり着いたのだと思います。
職場のハラスメントで心身に不調が出ているなら、心療内科の診断書があれば休職できます。この記事では、パワハラ・セクハラ・モラハラそれぞれで診断書の記載がどう変わるか、加害者に知られずに休職する手順、休職開始日と有給消化の関係までまとめました。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。
ハラスメントで休職するために診断書が必要な理由
ほとんどの企業の就業規則では、休職に入るために「医師の診断書」の提出が求められます。ハラスメントが原因であっても、この原則は同じ。
ただし、診断書に記載されるのは「パワハラを受けた」「セクハラがあった」という事実ではなく、「適応障害」「うつ状態」「急性ストレス反応」といった医学的な診断名です。ハラスメントの種類を問わず、心身の不調が医師に認められれば診断書は発行されます。
この診断書は休職の根拠になるだけではありません。傷病手当金の申請にも使えます。給与の約3分の2が最長1年6ヶ月支給される制度で、休職中の生活費を支える大きな柱になる。診断書1枚が、休職と生活費の両方をカバーする入口だということは覚えておいてください。
ハラスメント種類別の診断書の取り方と休職手順
心療内科で診断書をもらうまでの基本的な流れ(予約→問診→診察→診断書発行)は、こちらの記事に詳しくまとめています。ここでは、ハラスメント特有のポイントに絞って解説します。
パワハラ・セクハラ・モラハラで診断書の記載はどう変わるか
診断書に書かれる病名は、ハラスメントの種類によって傾向が分かれます。
| ハラスメントの種類 | 診断書に記載されやすい病名 | 補足 |
|---|---|---|
| パワハラ(暴言・過大要求・威圧) | 適応障害、うつ状態、うつ病 | 長期的な叱責や過重労働が背景にあるケースが多い。詳細はパワハラと適応障害の診断書を参照 |
| セクハラ(身体的接触・性的言動) | 適応障害、PTSD、急性ストレス反応 | 被害の詳細を話すのが難しい場合はメモを渡す方法もある。退職を考えている場合はセクハラ退職の手続きも確認 |
| モラハラ(無視・人格否定・孤立させる) | 適応障害、抑うつ状態 | 「モラハラ」は医学用語ではないため診断名には使われない。モラハラと休職制度も参照 |
| 複合型(複数種類が同時進行) | 適応障害が最も多い | ハラスメントの全容を完璧に説明する必要はない。主な症状を中心に伝える |
重要なのは、診断書に「パワハラ」「セクハラ」という言葉は書かれないということ。あくまで医学的な診断名が記載されます。ハラスメントの内容は診断の根拠として医師に伝える必要がありますが、診断書の病名欄にハラスメントの具体的内容が載ることはない。会社に診断書を出しても、何をされたかが文面から読み取られる心配はありません。
医師への伝え方のコツはひとつ。「職場での人間関係が原因で、いつ頃からどんな症状が出ているか」を伝えること。ハラスメントの一部始終を完璧に語る必要はないです。言葉に詰まるなら、事前にメモを用意しておけばいい。スマホのメモ帳を見せるだけでも伝わります。
加害者に知られずに休職する手順
ハラスメントで休職する場合、最も気を使うのが「加害者にバレずに手続きを進める方法」です。特に直属の上司が加害者の場合、通常の休職フローでは上司を経由することになる。これを避けるために、3つのポイントがあります。
1. オンライン診療で診断書を取得する
外出不要で、加害者と同じ地域の病院に通うリスクもゼロ。自宅からスマホひとつで完結します。初診15〜30分、予約もWebで電話不要。
2. 診断書は人事部に直接提出する
就業規則に「上長経由」と書かれていても、ハラスメントが原因の場合は人事に直接相談できるケースがほとんどです。「直属の上司が加害者に含まれるため、直接提出させてください」——この一文をメールに添えれば十分。
3. 休職の連絡はメールまたは書面で行う
加害者に対面で伝える義務はありません。人事部宛のメール1通で休職手続きは進められます。
休職開始日の決め方と有給消化の関係
休職開始日は、診断書に記載される「労務不能期間」の開始日に合わせるのが基本です。ただし、有給休暇が残っている場合の扱いには注意が必要。
多くの企業では、有給を消化してから休職に入る運用をしています。ここで覚えておきたいのが傷病手当金との関係。傷病手当金は「連続する3日間の待期期間」を経て4日目から支給される仕組みですが、有給消化中は給与が出ているため傷病手当金は支給されません。有給を長く使いすぎると、傷病手当金の実質的な受給開始が遅れる。
目安としてはこう考えてください。
| 有給残日数 | 推奨する進め方 |
|---|---|
| 10日以内 | 有給を消化してから休職に入る形でOK |
| 20日以上 | 有給を全部使う必要はない。人事に「早めに休職扱いにしたい」と伝えて調整する |
いずれの場合も、診断書の日付と休職開始日を揃えることが大事です。診断書を取ったらなるべく早く人事に提出する。日が空くと手続きが複雑になることがあります。
費用と所要時間の目安
費用の詳細はこちらの記事にまとめていますが、目安だけ記載します。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 初診料(オンライン診療) | 3,000〜5,000円 |
| 診断書発行料 | 2,000〜5,000円 |
| 合計 | 5,000〜10,000円 |
所要時間は初診で15〜30分。診断書は即日発行されるケースもありますが、後日郵送の場合は3〜7日ほどかかります。急ぎの場合は予約時に「診断書がすぐ必要です」と伝えておくといい。
ハラスメントが原因だからといって費用が上がることはありません。通常の心療内科受診と同じです。
複数の上司からのハラスメントで診断書を取った話
朝、最寄り駅の改札を抜けて地上に出ると、オフィスビルが見える。その瞬間に胃がぎゅっと縮む。毎朝のことだった。
商社の一般職として3年。直属の課長には、フロア中に聞こえる声で書類の不備を詰められたことがある。隣の部署の部長には飲み会の席で肩を抱かれた。断れなかった。「一般職なんだからもう少し愛想よくしなさい」——誰に言われたか、もう正確には覚えていない。
3日連続で朝、玄関から出られなかった週の土曜日に、オンラインで心療内科を予約した。実家の自分の部屋で、ドアを閉めて受診。問診票に「職場でのストレスの内容」という欄があって、何をどこまで書いていいのかわからなかった。パワハラとセクハラが混ざっている状況を、どうまとめればいいのか。3行書いては消して、また書き直す。結局「複数の上司から日常的に威圧的な言動と身体的接触がある」と1行にまとめた。それだけ書くのに40分かかった。
診察では、先生から「全部を整理して話す必要はないですよ」と言われた。少し楽になった。症状——眠れない、食欲がない、出社できない——それだけ伝えた。15分ほどで終わった。
診断書を人事部にメールで送った。上司は通さなかった。「直属の上司が加害者に含まれるため、直接ご連絡しております」と一文だけ添えて。送信ボタンを押した後、返信が来るまでの2日間、スマホの通知音が鳴るたびに肩がこわばった。
人事からの返信は、事務的な手続きの案内だった。それがどれだけありがたかったか。淡々と処理してもらえることが、あの状況では一番の救いだった。
まとめ
ハラスメントで休職するために必要なのは、心療内科の診断書。パワハラでもセクハラでもモラハラでも、心身に不調が出ていれば診断書は出ます。加害者を通さずに休職の手続きを進める方法もある。
診断書を取ること自体は、オンラインなら自宅から30分で終わる。必要なのは、その一歩だけ。あとのことは、動き出してから考えても遅くはないです。
※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

