退職後のお金の不安を解消する方法。使える5つの制度を解説

制度解説・基礎知識

退職後、お金の不安で眠れない夜が続いていませんか。不安の正体は「見通しが立たないこと」です。使える制度を把握して収支の見通しが立てば、不安はかなり和らぎます。この記事では、退職後に使える5つの公的制度と月給別の収入シミュレーションをまとめました。

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退職後に使える5つの公的制度の概要

退職すると給与はゼロになりますが、出ていくお金は止まりません。まず毎月の固定支出を確認しておきましょう。

項目 月額の目安
家賃 50,000〜80,000円
国民健康保険料(※) 15,000〜30,000円
国民年金保険料 16,980円(2024年度)
住民税 15,000〜25,000円
食費・光熱費・通信費など 50,000〜70,000円

※ 国保の金額は前年の所得と自治体によって変わります。任意継続の場合は在職時の保険料を全額自己負担(会社負担分も含む)。詳しくは退職後の健康保険の切り替え方法を参照してください。

一人暮らしの場合、何もしなくても毎月15〜20万円が消えていく計算です。ただし、退職後には収入を補い支出を減らす公的制度がいくつもあります。知っているかどうかで、退職後の生活はまったく変わります。

退職後に使える制度は、「収入を補うもの」と「支出を減らすもの」の2種類に分かれます。

① 傷病手当金(収入を補う)

病気やケガで働けないとき、健康保険から給与の約3分の2が最長1年6ヶ月支給される制度。うつ病や適応障害などの精神疾患も対象です。

② 失業保険・基本手当(収入を補う)

雇用保険の加入者が退職後に給与の約50〜80%を受け取れる制度。病気退職で「特定理由離職者」に認定されれば、給付制限なしで受給を開始できます。

③ 住民税の減免・猶予(支出を減らす)

自治体によっては失業を理由に住民税の減額や納付猶予が受けられる制度。退職後の住民税は前年の所得で計算されるため、収入がゼロでも高額になりがちです。

④ 国民健康保険料の減額(支出を減らす)

非自発的失業(会社都合・特定理由離職)の場合に、国保の保険料が最大で約7割軽減される制度。対象になるかどうかで年間10万円以上の差が出ることもあります。

⑤ 国民年金保険料の免除(支出を減らす)

退職による所得減少を理由に、年金保険料の全額または一部の免除を申請できる制度。免除期間中も受給資格期間にカウントされるため、未納のまま放置するよりはるかに有利です。

各制度の受給条件

各制度を利用するための条件と対象者を整理します。

① 傷病手当金

    • 対象者:健康保険の被保険者(在職中に加入していた人)
    • 条件:病気やケガで労務不能であること。医師の診断書が必要。うつ病や適応障害などの精神疾患も対象
    • 退職後の継続受給:在職中に受給を開始しているか、少なくとも在職中に「労務不能」の状態であったことが条件
    • 手続きの目安:申請から振込まで約1〜2ヶ月

条件の詳細は傷病手当金の条件をわかりやすく解説にまとめました。

② 失業保険・基本手当

    • 対象者:雇用保険に加入していた人で、働ける状態にあり求職活動をしている人
    • 条件:自己都合退職だと2ヶ月の給付制限あり。病気退職で「特定理由離職者」に認定されれば制限なしで受給開始できる
    • 手続きの目安:ハローワークでの申請手続きは初回30分〜1時間

受給開始のタイミングは失業保険の受給開始はいつから?で解説しています。なお、傷病手当金と失業保険は同時に受け取ることはできません。どちらを先に使うかは状況次第です。

③ 住民税の減免・猶予

    • 対象者:退職後に住民税の納付が困難な人
    • 条件:自治体によって減免制度の有無・条件が異なる。納付が困難な場合は猶予申請も可能

手続きの詳細は退職後に住民税が払えない時の対処法を参照してください。

④ 国民健康保険料の減額

    • 対象者:非自発的失業(会社都合・特定理由離職)の人
    • 条件:ハローワークで離職理由の確認を受けたあと、市区町村の窓口で申請が必要
    • 手続きの目安:市区町村窓口での申請は15〜30分

⑤ 国民年金保険料の免除

    • 対象者:退職による所得減少があった人
    • 条件:全額または一部の免除を申請できる。免除期間中も受給資格期間にカウントされる
    • 手続きの目安:市区町村窓口での申請は15〜30分

申請手順は国民年金の免除申請方法にまとめています。

金額・期間

「自分の場合、いくらもらえるのか」。一番気になるところだと思います。傷病手当金と失業保険の目安を月給別にまとめました。

退職前の月給 傷病手当金(月額目安) 失業保険(月額目安)
20万円 約13.3万円 約12〜13万円
25万円 約16.7万円 約14〜16万円
30万円 約20万円 約16〜18万円

※ 傷病手当金=標準報酬日額の2/3×30日で概算。失業保険は年齢・勤続年数で変動します。

ここにさらに、年金免除(月16,980円)と国保の7割軽減を組み合わせると、月の固定支出を3〜5万円ほど削減できるケースもある。

たとえば月給25万円の人なら、傷病手当金で月約16.7万円の収入。年金免除と国保軽減で支出を抑えれば、家賃6万円台の一人暮らしでもなんとか生活が回る計算になります。「収入ゼロで貯金が溶けていく」状態とは、まったく違う景色。

傷病手当金の受給期間は最長1年6ヶ月。月給25万円の人が満額受給した場合、総額は約300万円です。体調回復後に失業保険へ切り替えれば、さらに数ヶ月の給付を上乗せできる。「退職=即座に破綻」ではないことが、数字にすると見えてきます。

傷病手当金の詳しい計算方法は傷病手当金の金額と計算方法で解説しています。

注意点

制度を知っていても、タイミングを間違えると使えなくなるものがあります。

1. 傷病手当金は「退職前の受診」が重要

退職後に傷病手当金を継続受給するには、在職中に受給を開始しているか、少なくとも在職中に「労務不能」の状態であったことが条件です。退職してから初めて受診しても、遡って受給できない場合がある。

退職を考えているなら、まず心療内科を受診しておくこと。診断書の取り方は適応障害の診断書のもらい方にまとめました。

2. 傷病手当金と失業保険は同時にもらえない

傷病手当金は「病気で働けない」状態、失業保険は「働ける状態で求職中」が前提。この2つは併給できません。先に傷病手当金を受給し、回復後に失業保険へ切り替えるルートが、受給総額を最大化しやすい一般的な流れです。

3. 申請には期限がある

傷病手当金の申請時効は、労務不能だった日の翌日から2年。失業保険の受給期間延長申請は、退職日の翌日から30日経過後の1ヶ月以内が期限です。私も延長申請の存在をギリギリまで知らず、ハローワークに駆け込んだ経験がある。期限切れで受給資格を失う前に、退職後は早めに動くのが鉄則です。

次のアクション

これらの制度は、申請の代行業者に頼まなくても自分で手続きできるものがほとんどです。必要な知識と手順さえわかっていれば、数十万円のサポート費用を払う必要はない。

あなたの状況に合わせて、次に読む記事を選んでみてください。

    • 傷病手当金の条件を確認したい → 傷病手当金の条件をわかりやすく解説
    • メンタル不調で診断書が必要 → 適応障害の診断書のもらい方
    • 傷病手当金を自分で申請したい → 傷病手当金の申請方法
    • 失業保険の手続きを知りたい → 退職後の失業保険の申請方法
    • 使える制度を全部まとめて見たい → 退職後に使えるお金の制度一覧

まとめ

退職後のお金の不安は、「知らない」ことから生まれている部分が大きい。使える制度を把握して、収支の見通しを立てるだけで、夜中の計算地獄から少し距離を置けるようになります。

全部を完璧に理解する必要はない。まずは「自分に使えそうな制度がある」と知ること。それだけで、少し息がしやすくなるはずです。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
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