傷病手当金の申請書を前に、「これ、自分で出せるのか」と固まった夜があった。記入欄の意味はわかる。でも”正解”がわからない。検索すると「社労士に頼めば安心」という情報が出てくる。じゃあ、いくらかかるのか。
この記事では、社労士に傷病手当金の申請を依頼した場合の費用相場(3〜15万円)、料金体系の種類、自分で申請する場合との具体的な比較をまとめた。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。
社労士は傷病手当金の申請で何をしてくれるのか
そもそも「社労士に依頼する」とは、具体的に何を頼むことなのか。整理しておく。
社労士(社会保険労務士)は、健康保険や年金などの社会保険手続きの専門家。傷病手当金の申請においては、主に以下の業務を請け負う。
- 申請書の作成代行:記入欄の正確な記載、添付書類の整備
- 医師の意見書欄の記入アドバイス:「労務不能」と認められやすい記載のポイントを助言
- 健保組合への提出・やり取りの代行:書類の郵送、不備があった場合の修正対応
- 受給期間中のフォロー:継続申請のスケジュール管理、2回目以降の書類作成
- 不支給時の審査請求:健保組合に不支給と判断された場合の異議申立て
依頼から支給までの所要時間の目安も把握しておきたい。初回相談は30〜60分程度。その後、書類作成から健保組合への提出までは1〜2週間。申請書を提出してから支給決定が出るまでは約1〜2ヶ月かかるのが一般的。社労士に依頼しても審査期間自体は変わらないが、書類の不備による差し戻しが減るぶん、結果的にスムーズに進むことが多い。
ポイントは、社労士が行うのは「手続きの代行と助言」であって、診断書の取得や会社への連絡は本人がやる必要があるということ。すべてを丸投げできるわけではない。
また、傷病手当金の申請自体は、本来は本人が健保組合に書類を提出すれば完結する手続き。申請書は各健保組合のサイトからダウンロードでき、記入例も公開されている。つまり、社労士への依頼は「必須」ではなく「任意」の選択肢になる。
社労士の料金相場と口コミ
社労士に傷病手当金の申請を依頼する場合の費用は、事務所によって料金体系が異なる。大きく3つのパターンがある。
| 料金体系 | 費用の目安 | 支払いタイミング | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 着手金型 | 3万〜8万円 | 依頼時に一括 | 結果に関わらず支払い発生。不支給でも返金なしが多い |
| 成功報酬型 | 受給額の10〜15% | 支給決定後 | 受給できなければ費用ゼロ。総額は高くなりがち |
| 着手金+成功報酬型 | 着手金2〜3万円+受給額の5〜10% | 依頼時+支給決定後 | リスク分散型。両方の特徴を持つ |
成功報酬型で計算してみる。月給25万円の人が傷病手当金を12ヶ月受給した場合、総支給額はおよそ200万円。報酬率が10%なら20万円、15%なら30万円。着手金型の3〜8万円と比べると、支給期間が長くなるほど成功報酬型のほうが高くつく。
一方で、「不支給になるリスクが高い」と感じるケース——たとえば退職後に初めて申請する場合や、過去に不支給になった経験がある場合——では、成功報酬型のほうが依頼しやすい。受給できなければ費用が発生しないから。
なお、初回相談は無料の事務所が多い。見積もりだけ取って比較する、という使い方もできる。
実際に社労士に傷病手当金の申請を依頼した人の声も紹介しておく。
- 「退職後の申請で要件を満たしているか不安だったが、社労士に確認してもらい無事に受給できた。着手金5万円は安心料として納得している」(30代・うつ病で退職後に申請)
- 「成功報酬型で依頼した。1年半受給して報酬は約27万円。金額だけ見ると高いが、体調が最悪の時期に書類を丸ごと任せられたのは助かった」(40代・椎間板ヘルニアで休職)
- 「一度不支給になり、審査請求を社労士に頼んだ。自分では何が問題だったのかわからなかったので、専門家の視点がなければ諦めていたと思う」(20代・適応障害で退職後に申請)
社労士に依頼するメリット・デメリット
メリット
- 書類の不備を防げる:記入ミスや添付漏れで差し戻されるリスクが減る。特に「療養の給付開始日」や「労務不能期間」の記載は、間違えると審査に影響する部分
- 継続申請のスケジュール管理:傷病手当金は1ヶ月ごと(または数ヶ月ごと)に継続申請が必要。申請時期を逃すと支給が遅れる
- 不支給時に審査請求できる:社労士は審査請求の代理人になれる。自分でやるには負担が大きい手続き
- 精神的な負担が軽くなる:体調が悪い時期に、書類と向き合うエネルギーは想像以上に消耗する
デメリット
- 費用がかかる:自力なら実費ゼロ(郵送代程度)で済む手続きに、数万〜数十万円の報酬が発生する
- 丸投げはできない:診断書の取得、会社への事業主証明の依頼は本人の仕事。社労士がやるのは「書類作成と提出」の部分
- 社労士の質にばらつきがある:傷病手当金を得意とする社労士もいれば、企業顧問がメインで個人の申請対応に不慣れな社労士もいる
自分で申請する場合との費用比較
社労士に頼む場合と、自分で申請する場合の費用を並べてみる。
| 項目 | 自力申請 | 社労士に依頼(着手金型) | 社労士に依頼(成功報酬型10%) |
|---|---|---|---|
| 申請書の作成 | 0円(自分で記入) | 着手金に含む | 成功報酬に含む |
| 診断書の取得 | 3,000〜5,000円 | 3,000〜5,000円(本人負担) | 3,000〜5,000円(本人負担) |
| 郵送代 | 500〜1,000円 | 社労士負担が多い | 社労士負担が多い |
| 社労士報酬 | 0円 | 3万〜8万円 | 受給額の10% |
| 合計(12ヶ月受給時) | 約4,000〜6,000円 | 約3.4万〜8.5万円 | 約20万円 |
※月給25万円、12ヶ月受給(総支給額約200万円)の場合の概算
差は歴然としている。自力なら1万円以下で済む手続きが、社労士に依頼すると数万〜20万円になる。
ただし、この比較はあくまで「問題なく受給できた場合」の話。不支給になって再申請や審査請求が必要になったケースでは、社労士の知識が費用以上の価値を持つこともある。
自分で申請する場合の具体的な手順は、傷病手当金の申請手順にまとめている。記入例つきで書いたので、「まず自力でやってみよう」という人はそちらを参考にしてほしい。申請書の書き方で迷ったら、傷病手当金の申請書の書き方も確認してみてほしい。
では、実際に社労士に依頼すべきか、自力で十分かの判断基準も整理しておく。
封筒を開けて申請書を広げたとき、「これは無理だ」と感じるか、「面倒だけどやれそうだ」と感じるか。その感覚は、けっこう正確だと思う。
社労士への依頼を検討してもいいケース:
- 過去に傷病手当金が不支給になった経験がある
- 退職後に初めて申請するため、在職中の受給開始要件を満たしているか判断がつかない
- 健保組合から書類の不備を何度も指摘されている
- 体調が深刻で、書類に向き合うエネルギーが本当にない
自力申請で十分なケース:
- 在職中にすでに受給を開始している(会社の人事が手続きを手伝ってくれた等)
- 申請書の記入例を見て、自分の状況を当てはめられる
- 健保組合に電話で質問できる余力がある
- 費用を少しでも抑えたい
迷ったら、まず無料相談だけ利用して見積もりを取り、その金額と自分の体調を天秤にかけるのがいい。「3万円払って楽になるなら頼む」「20万円は厳しいから自分でやる」——その判断は、人によって違って当然。
私が自力申請を選んだ理由
介護施設で事務をしていた。利用者さんの笑顔は好きだったけど、夜勤明けの引き継ぎでミスが重なった月に、糸が切れた。布団から起き上がれない朝が3日続いて、退職届を出した。
傷病手当金のことを知って、社労士に頼もうかと検索した。見積もりフォームに入力して、返ってきた金額が「着手金5万円+成功報酬10%」。仮に1年受給したら、合計25万円くらい。貯金60万円の私には重かった。
それで、健保組合のサイトから申請書をダウンロードした。記入例と自分の状況を見比べながら、2日かけて書いた。「労務不能と認められる期間」の欄で手が止まって、健保組合に電話した。声が震えたけど、担当者は淡々と教えてくれた。
結果、申請は通った。かかった費用は診断書代の3,000円と切手代だけ。正直、楽ではなかった。でも「自分でやれた」という感覚は、あの時期の私にとって、お金以上に大きかった気がする。
まとめ
社労士に傷病手当金の申請を依頼する費用は、着手金型で3〜8万円、成功報酬型で受給額の10〜15%が相場。自力申請なら実費は数千円で済む。
どちらが正解かは、体調と貯金と、書類に向き合える気力のバランスで決まる。無理をして自力でやる必要はないし、余裕があるなら自分でやっても損はない。
どちらを選んでも、最初に必要なのは医師の診断書。まだ受診していないなら、診断書のもらい方から読んでみてほしい。
修正した4点の概要:
※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

