健保のサイトから申請書のPDFをダウンロードして、開いた瞬間に手が止まった。4枚もある。どの欄に何を書けばいいのか、項目名を目で追っても頭に入ってこない。
傷病手当金の申請書は全4枚で1セット。自分で書く欄、会社に頼む欄、医師に頼む欄に分かれています。この記事では、4枚それぞれの記入ポイントを具体例つきで解説しました。会社への依頼メール文面や、よくある記入ミスTOP5もまとめています。公式LINEでも制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。
傷病手当金の申請書とは
傷病手当金支給申請書は、加入している健康保険組合(協会けんぽなど)に傷病手当金を請求するための書類。全4枚構成で、ページごとに記入する人が異なります。
| ページ | 記入者 | 主な記入内容 |
|---|---|---|
| 1枚目 | 本人(被保険者) | 氏名・住所・振込先口座 |
| 2枚目 | 本人(被保険者) | 申請期間・仕事内容・発病の原因 |
| 3枚目 | 会社(事業主) | 勤務状況・報酬の支払い状況 |
| 4枚目 | 医師(療養担当者) | 傷病名・労務不能期間・医学的意見 |
ダウンロードは加入先の健保組合の公式サイトから。協会けんぽなら「傷病手当金支給申請書」で検索すれば、PDFがすぐ見つかります。手書きでもPC入力でも申請可能。
傷病手当金の制度概要や申請全体の流れは傷病手当金の申請方法にまとめているので、「そもそも傷病手当金って何?」という方はそちらから読んでほしい。この記事では「申請書の書き方」だけに絞って解説する。
記入前の準備チェックリスト
申請書を書き始める前に、以下を手元に揃えておきます。
- 健康保険証(被保険者整理番号の確認に必要)
- 銀行口座の情報(支店名・口座番号・口座名義)
- 出勤簿または勤怠記録のコピー(最終出勤日の特定用)
- 医師の診察日メモ(初診日・直近の通院日)
- 会社の人事部・総務部の連絡先(メールアドレス推奨)
全部そろっていなくても、書ける欄から埋めれば大丈夫。ただし被保険者整理番号が空欄のまま提出すると差し戻しになるので、保険証の確認だけは先に済ませておくこと。
退職済みで保険証を返却した場合は「資格喪失確認通知書」に番号が載っている。手元にないときは、健保組合に電話すれば教えてもらえます。電話1本、5分もかからない。
申請書4枚の書き方──記入例つき
Step 1:1枚目(被保険者情報)を記入する
最初のページは自分の基本情報。迷いやすいのは「被保険者整理番号」と「振込先口座」の2つです。
| 項目 | 記入例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 被保険者整理番号 | 123456 | 保険証の「番号」欄を転記。「記号」ではない |
| 氏名 | 山田 花子 | 保険証と同じ表記で記入 |
| 振込先口座 | ○○銀行 △△支店 普通 0012345 | 本人名義のみ。家族名義は不可 |
| 住所 | 東京都○○区△△ 1-2-3 | 退職後に引っ越した場合は新住所 |
保険証を横に置いて写すだけなので、10〜15分あれば終わる。ここはそこまで迷わない。
Step 2:2枚目(申請内容)を記入する
4枚のなかで一番手が止まりやすいのがこのページ。
| 項目 | 記入例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 療養のため休んだ期間 | 令和○年1月13日〜令和○年2月28日 | 待期期間(連続3日間)の翌日を開始日にする |
| 仕事の内容 | 衣料品の販売接客、在庫管理業務 | 「販売職」ではなく具体的な業務内容を書く |
| 発病または負傷の原因 | 業務外の事由による精神的不調 | 「業務上のストレス」と書くと労災との関連を疑われ審査が長引くことがある |
待期期間の数え方が最大のつまずきポイント。たとえば1月10日から欠勤した場合、1月10日・11日・12日の3日間が待期期間。申請開始日は1月13日になる。有給を使った日も、土日も、連続3日間休んでいればカウントされます。
「有給を使ったらダメなのでは」と迷って手が止まった。深夜にスマホで検索して、協会けんぽのQ&Aでようやく確認が取れた。連続していれば有給でも欠勤でも問題ない。
Step 3:3枚目(事業主記入欄)を会社に依頼する
3枚目は自分では記入できない。在籍中であれば社内の人事・総務に直接渡せばいいが、退職後は元の会社にメールで依頼することになります。
辞めた会社に連絡するのは気が重い。私の場合、メールの件名を打っては消して、3回やり直した。でも送ってしまえば、返ってくるのは事務的な対応だけだった。以下のテンプレートはそのまま使えます。
件名:傷病手当金支給申請書 事業主証明のお願い
○○株式会社 人事部 ご担当者様
お世話になっております。○月に退職いたしました○○(氏名)です。
傷病手当金の申請にあたり、支給申請書の事業主記入欄へのご記入をお願いしたく、ご連絡いたしました。
申請書を郵送いたしますので、ご記入のうえご返送いただけますと幸いです。
返送用封筒(切手貼付済み)を同封いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
返送用の封筒と切手を同封しておくのがコツ。対応がスムーズになります。返送までの目安は1〜2週間。届かない場合は、10日ほど経った時点で確認のメールを1本入れておくと安心。
Step 4:4枚目(療養担当者記入欄)を医師に依頼する
主治医に「傷病手当金の申請書を書いてください」と伝えれば対応してもらえます。通院時に申請書を持参して依頼するのが一般的な流れ。
意見書の記入料は、保険適用で300円程度のクリニックもあれば、自費で1,000〜2,000円かかるところもある。診断書の文書料(1,500〜3,000円)とは別の費用なので、事前に受付で確認しておくといい。
まだ心療内科を受診していない場合は、まず受診するところから。オンラインで完結するクリニックもあります。手順は適応障害の診断書のもらい方を参照してください。
4枚すべて揃ったら、健保組合の窓口へ郵送する。申請から最初の振込までは、おおむね1〜2ヶ月。長いと感じるかもしれないが、書類に不備がなければ、あとは待つだけ。
よくある記入ミスTOP5と対処法
私が申請書を書いたのは、退職して1ヶ月ほど経った頃。実家のダイニングテーブルに申請書と保険証のコピーとボールペンを広げて、見本をスマホに表示しながら書いた。鉛筆で下書きしてからボールペンで清書する、という小学生みたいなやり方で。それでもミスをした。
| 順位 | ミスの内容 | 対処法 |
|---|---|---|
| 1位 | 申請期間に待期期間(3日間)を含めてしまう | 連続3日間の翌日を開始日にする。有給消化日もカウント可 |
| 2位 | 被保険者整理番号と記号を取り違える | 保険証の「番号」欄の数字を転記する。「記号」欄ではない |
| 3位 | 振込口座を家族名義で記入する | 本人名義の口座のみ指定可能 |
| 4位 | 発病原因に「業務上のストレス」と書く | 「業務外の事由による」と記載。労災との混同を避ける |
| 5位 | 事業主欄・療養担当者欄を自分で記入してしまう | 3枚目は会社、4枚目は医師が記入する欄 |
私がやらかしたのは1位の待期期間ミス。申請書が差し戻されて、修正して再提出するまでに2週間ロスした。その2週間、振込がいつになるのかわからず、夕食のたびに母の顔色を窺っていた。実家暮らしでなかったら、もっと追い詰められていたと思う。
記入ミスがあっても、修正すれば再提出できる。一発で通らなかったとしても不支給になるわけではない。落ち着いて直せば大丈夫。万が一、不支給の通知が届いた場合は傷病手当金が不支給になったときの対処法にまとめているので参考にしてほしい。
自分で書く場合と業者に頼む場合の費用比較
「書き方がわからないから業者に任せたい」と考える人もいると思う。費用の差を比べると、こうなる。
| 項目 | 自分で申請 | サポート業者に依頼 |
|---|---|---|
| 申請書の記入 | 0円(自分で書く) | 業者が記入サポート |
| 医師の意見書記入料 | 300〜2,000円 | 300〜2,000円(別途自己負担) |
| 郵送料 | 数百円 | 数百円 |
| サポート費用 | 0円 | 総支給額の10〜15%(数十万円) |
| 合計の目安 | 約1,000〜3,000円 | 20〜40万円前後 |
傷病手当金を1年6ヶ月受給した場合、総額は200〜300万円になることもある。その10〜15%は、かなりの金額になる。申請書の記入自体は、この記事の手順で進めれば自力でできる。
自分で申請する全体の流れは傷病手当金を自分で申請する方法で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてほしい。
まとめ
傷病手当金の申請書は全4枚。自分で書くのは最初の2枚で、残りの2枚は会社と医師に依頼する。待期期間の計算と口座名義さえ間違えなければ、特別に難しい書類ではない。
私はダイニングテーブルで3日かけて書いた。途中で母に「まだやってるの」と声をかけられて、少し恥ずかしかった。たかが書類に3日。でも、あのとき自分で書いたから、数十万円のサポート費用を払わずに済んでいる。
書き終えたら封筒に入れて、ポストに投函するだけ。書類1枚1枚は、ただの紙。でもその紙が届いた先で、あなたのお金の不安に少しだけ輪郭を与えてくれる。
※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
心身に不調を感じている方は、必ず医療機関にご相談ください。

