産後うつで仕事復帰できない時の選択肢と制度

制度解説・基礎知識

復帰予定日が迫っているのに、身体がついてこない。産後うつで仕事復帰が難しいとき、取れる選択肢は育休延長・休職・退職の3つ。この記事では、各段階で使える制度と収入の目安、会社への伝え方、保育園の退園リスクまで整理した。

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復帰できないときの3つの選択肢と使える制度

産後うつで仕事復帰が困難な場合、段階的に3つの選択肢がある。どれを選ぶかは、回復の見通しと家計の状況で変わってくる。

① 育休延長

通常の育休は子が1歳になるまで。ただし、保育所に入所できない等の理由があれば、1歳6ヶ月まで、さらに2歳まで延長できる。この間は育児休業給付金(休業開始時賃金の50%)が引き続き支給される。社会保険料も免除のまま。

産後うつ自体は育休延長の直接の理由にはならない。だが「保育所の入所不承認」等の事由があれば延長は可能。自治体から不承認通知書を受け取り、会社と健保(またはハローワーク)に提出する流れになる。

② 休職(育休→休職への切り替え)

育休終了後、復職せずそのまま休職に入るパターン。会社の就業規則に休職制度がある場合に限られる。医師の診断書が必要で、健康保険の被保険者であれば傷病手当金(給与の約3分の2)を最長1年6ヶ月受給できる。

育児休業給付金より支給額が高くなるケースが多い。一方で、休職中は社会保険料の免除がなくなり、自己負担が発生する点は知っておきたい。

③ 退職

休職しても回復の見通しが立たない場合、退職も選択肢に入る。退職後も一定の条件を満たせば傷病手当金の継続受給が可能。就労可能な状態まで回復したあとは、失業保険(基本手当)への切り替えもできる。退職後に使える制度の全体像は退職後に使えるお金の制度一覧で整理している。

各選択肢の条件と手続き

3つの選択肢ごとに、必要な条件と手続きをまとめる。

育休延長の条件

    • 子が1歳(または1歳6ヶ月)の時点で保育所に入所できないこと
    • 市区町村から「保育所入所不承認通知書」を取得し、会社に提出
    • 延長は1歳→1歳6ヶ月、1歳6ヶ月→2歳の2段階で、それぞれ申請が必要
    • 自動延長ではないため、期限前に手続きを済ませること

休職(傷病手当金)の条件

    • 会社の就業規則に休職制度が定められていること
    • 医師の診断書(「労務不能」の記載が必要)
    • 健康保険の被保険者であること
    • 傷病手当金の申請には、会社の事業主証明+医師の意見書が必要

退職後の傷病手当金継続の条件

    • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
    • 退職日に出勤していないこと(最終日は欠勤または有休)
    • 退職日の時点で傷病手当金を受給中、または受給要件を満たしていること

この3つのうち、ひとつでも欠けると退職と同時に傷病手当金が打ち切られる。特に「被保険者期間の継続1年以上」は、転職して間もない人だと満たせないケースがある。健保組合に事前確認しておきたい。

月給別・収入シミュレーション

選択肢によって毎月の収入は大きく変わる。月給別にざっくりとした目安を表にした。

選択肢 月給20万円 月給25万円 月給30万円
育休延長(給付金50%) 約10万円/月 約12.5万円/月 約15万円/月
休職(傷病手当金 約2/3) 約13.3万円/月 約16.7万円/月 約20万円/月
退職(傷病手当金 継続) 約13.3万円/月 約16.7万円/月 約20万円/月

いくつか補足しておく。

育休延長中は社会保険料が免除されるため、手取りベースでは上の数字に近い金額がそのまま残る。一方、休職中は社会保険料の自己負担(月額2〜4万円程度)が発生する。額面では傷病手当金のほうが多いが、手取りの差は月2〜3万円程度に縮まることもある。

退職後は国民健康保険+国民年金への切り替えが必要になる。保険料は自治体や前年所得で変わるが、減免制度が使えるケースも多い。

たとえば月給25万円の場合。育休延長では月約12.5万円、休職に切り替えれば月約16.7万円。ただし、傷病手当金には最長1年6ヶ月の上限がある。「回復にどれくらいかかりそうか」も含めて、どの制度をいつまで使うか考えておきたい。

会社への伝え方と保育園の注意点

会社に伝えるタイミングと方法

育休終了の1〜2ヶ月前が目安。まずは直属の上司か人事担当に連絡する。電話がつらければメールで構わない。

伝える内容の例——

「産後の体調が回復せず、医師から就労困難の診断を受けています。育休の延長(または休職)について相談させてください。診断書は提出可能です。」

ポイントは「医師の診断がある」と先に伝えること。自己判断ではなく医療的な根拠を示すと、会社側も制度での対応に動きやすい。診断書がまだ手元にない場合は、産後うつの診断書をオンラインで取得する方法を参考にしてほしい。

保育園の退園リスク

休職や退職で「就労」の要件を満たさなくなると、保育園の利用継続が難しくなる可能性がある。ただし、多くの自治体では「療養中」「求職活動中」等の理由で2〜3ヶ月程度の継続利用を認めている。

早めに市区町村の保育課へ相談し、必要書類(診断書等)を確認しておくこと。「退園になるかも」という不安は、事前の確認でかなり軽くなる。

次にやること

状況に応じて、以下の記事も参考にしてほしい。

まずは医師の診断を受けること。選択肢を選ぶにしても、診断書がすべての出発点になる。

まとめ

産後うつで復帰できないとき、選択肢は育休延長・休職・退職の3つ。どの段階にも使える制度がある。

私は2人目の産後に起き上がれなくなった。ハンガーにかけたままの園の制服を、布団から眺めるだけの朝が何日も続いた。制度を調べて、手続きを一つずつ進めて、生活はいまも続いている。

全部を一度に決めなくていい。今日は、自分が使えそうな制度をひとつ確認する——それだけで十分。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
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