任意継続と国保はどっちが安い?年収別の保険料を比較

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退職手続きの書類に「健康保険の選択」という欄があった。任意継続か、国民健康保険か。人事からもらったプリントには両方の説明が載っていたけれど、結局どっちが安いのかがわからない。

帰宅後、スマホで調べ始めた。自治体のサイト、健保組合のページ、個人ブログ。数字の前提がバラバラで、比較にならなかった。

この記事では、年収別に3パターンの保険料を試算して、任意継続と国保のどちらが安くなるかを比較している。扶養に入るという第3の選択肢も含めて整理した。公式LINEでも退職後の制度まわりの情報を配信しているので、あわせてどうぞ。

任意継続と国保の仕組み

退職後の健康保険には、大きく2つの選択肢がある。

任意継続被保険者制度は、退職前に加入していた健康保険をそのまま最長2年間継続できる制度。加入条件は2つだけ。「退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること」と「退職日の翌日から20日以内に申請すること」。

保険料は、退職時の標準報酬月額に保険料率を掛けた金額になる。在職中は会社が半額を負担していたが、退職後は全額自己負担。つまり、在職中のおよそ2倍。ただし協会けんぽの場合、標準報酬月額に上限(30万円)が設けられていて、年収が高い人ほどこの上限が効いて割安になる仕組みになっている。

国民健康保険(国保)は、市区町村が運営する健康保険。退職日の翌日から14日以内に、住んでいる自治体の窓口で加入手続きをする。

保険料は前年の所得がベース。自治体ごとに料率が異なるため、同じ年収でも住む場所によって月額が変わる。世帯人数に応じた「均等割」も加算されるので、家族が多いほど負担は増える傾向にある。

制度の基本的な切り替え手順については、退職後の健康保険の切り替え方法で詳しく解説している。

年収別・保険料シミュレーション

ここからが本題。年収300万円・500万円・700万円の3パターンで、任意継続と国保の月額保険料を試算する。

任意継続は協会けんぽ(東京都・保険料率9.98%)、国保は東京都特別区の料率を基準にした。あくまで目安であり、加入している健保組合や自治体によって金額は前後する。

退職前の年収 任意継続(月額) 国保(月額目安) 年間の差額
300万円 約24,000円 約18,000円 国保が約7万円安い
500万円 約29,940円 約36,000円 任意継続が約7万円安い
700万円 約29,940円 約53,000円 任意継続が約28万円安い

年収300万円では国保が安い。標準報酬月額が上限の30万円を下回るため、任意継続の保険料がそのまま反映される一方、国保は所得割がまだ低い水準に収まる。

分岐点は年収400万〜500万円あたり。このラインを超えると、任意継続の上限キャップが効き始める。国保は所得に比例して上がり続けるため、年収700万円になると年間の差額は約28万円。無視できない金額になる。

もう一つ見落としがちなのが、国保の減免制度。会社都合退職や特定理由離職者に該当すると、前年所得を30/100として保険料が計算される。たとえば年収500万円でも、減免が適用されれば国保は月額1万円台まで下がるケースがある。自己都合退職でも、医師の診断書をもとに「病気による退職」で特定理由離職者と認定されれば対象になることがある。減免の詳しい条件と手続きは国保減免・年金免除の条件と手続きまとめを確認してほしい。

任意継続と国保のメリット・デメリット

金額だけでは判断できない部分もある。それぞれの特徴を整理した。

任意継続のメリット

保険料が2年間固定される点が大きい。退職後に収入が戻っても保険料は上がらない。また、扶養家族がいる場合は追加費用なしでそのまま継続できる。付加給付がある健保組合なら、高額療養費の上乗せ給付を2年間受けられるのもメリットになる。

任意継続のデメリット

申請期限が退職から20日間。これを1日でも過ぎると加入できない。保険料を1日でも滞納すると即日で資格喪失になる点も厳しい。なお、2022年の法改正で任意のタイミングでの脱退が可能になった。以前は「2年間縛り」だったが、今は国保に切り替えたくなったら届出で脱退できる。

国保のメリット

退職翌年以降、収入が下がれば保険料も連動して下がる。減免制度が使えるのも国保だけの強み。加入・脱退の柔軟さもある。

国保のデメリット

扶養の概念がない。家族一人ひとりに均等割がかかるため、配偶者や子どもがいる世帯は負担増になりやすい。自治体間の保険料格差が大きく、同じ年収でも月額1万円以上の差が出ることもある。

判断のポイントは「退職から2年間」というスパンで考えること。1年目は任意継続が安くても、収入が下がった2年目は国保のほうが安くなるケースは珍しくない。

「扶養に入る」第3の選択肢との比較

配偶者が会社の健康保険に加入している場合、もう一つの道がある。扶養に入ることで、追加の保険料負担ゼロで健康保険に加入できる。

扶養に入る条件

年間収入が130万円未満であること(60歳以上または障害者は180万円未満)。かつ、被保険者(配偶者)の年間収入の半分未満であること。同居が原則だが、別居でも仕送り額が収入を上回っていれば認められる場合がある。

注意すべきは、「年間収入」に傷病手当金や失業手当も含まれるという点。傷病手当金の日額が3,612円以上(年間130万円÷360日)だと、受給期間中は扶養に入れない。失業手当の基本手当日額も同じ基準で判定される。

3つの選択肢を並べると、こうなる。

比較項目 任意継続 国保 扶養
月額保険料 退職時の報酬ベース(上限あり) 前年所得ベース 0円
加入可能期間 最長2年 制限なし 条件を満たす限り
申請期限 退職後20日以内 退職後14日以内 退職後速やかに
家族の扱い 扶養制度あり(追加負担なし) 人数分の均等割が発生
減免制度 なし あり
傷病手当金の受給中 加入可 加入可 日額3,612円以上で不可

退職後に使える制度の全体像は退職後に使えるお金の制度一覧にまとめてある。健康保険だけでなく、年金免除や住居確保給付金なども含めて把握しておくと、判断の軸が増える。

自分で調べて出した結論

退職が決まった翌日、リビングのテーブルでノートパソコンを開いた。エクセルに数字を打ち込む。月給35万円、妻と3歳の子どもが1人。任意継続なら月額約3万円。国保は——自治体のサイトにある計算ツールを使ったら、約3万6千円と出た。

年間で約7万円の差。「どっちでもそこまで変わらないのか」と、一瞬、考えるのをやめそうになった。

でも、もう少し調べると妻の会社の健保で扶養に入れる可能性が見えてきた。保険料ゼロ。飛びつきたくなったが、傷病手当金を受給する予定だった。日額を電卓で叩く。3,612円のラインを、数百円だけ超えていた。

受給中は扶養に入れない。「タダになる」と思っていた選択肢が、目の前で消えた瞬間の脱力感。あれは忘れられない。

結局、傷病手当金の受給が終わるまでは任意継続にして、受給終了後に扶養へ切り替えるプランにした。3日かけてたどり着いた結論。ネットの情報をつなぎ合わせて、エクセルのセルを何度も書き直して、やっと「これでいける」と思えた。

まとめ

任意継続と国保、どちらが安いかは年収と家族構成で変わる。年収が高いほど任意継続の上限が効いて有利になり、低いほど国保に軍配が上がる。扶養に入れるなら保険料はゼロになるが、傷病手当金や失業手当の日額次第では対象外になる。

正解はひとつじゃない。自分の数字を当てはめて、計算してみること。この記事の数字が、その計算の土台になればいい。

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※この記事は2026年2月時点の情報に基づく個人の体験・見解であり、法的・医学的アドバイスではありません。
制度の詳細は厚生労働省・協会けんぽ・ハローワークの公式情報をご確認ください。
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